「救命の連携」で命を救う実証実験
3月20日、三井不動産、シスコシステムズ、CoaidoI(コエイド)は、救命率向上を目指す共同実証実験を行なった。古くから「共助の精神」が根付く東京・日本橋で実施。「心停止の予防」「心停止の早期認識と通報」「心肺蘇生(CPR)とAED」「救急隊、病院での救命処置」を途切れることなく迅速につなげることで、「救命の連鎖」を実現し、救命率を向上させることを目指すもの。
実験の概要としては「コレド室町1の建物内において、周囲に人がいない状況下で、心肺停止状態になった場合」を想定して行なわれた。
①コレド室町1のエントランスにおいて、男性(急病人)が卒倒。防犯カメラ画像を通じてAIがこれを検知し、情報連携を高度化するシステム「Cisco Spark」を通じて建物管理者(防災センター、巡回管理要員)へ通知。

②防災センターから「Cisco Spark」を通じて、Wi-Fiによる位置情報から把握した現場に最寄りの巡回管理要員に急行を指示。並行して「Coaido119」を通じて防災センターから一般来街者の救命スキル保持者への支援も要請。

③巡回管理要員や防災センター要員が駆けつけて救命を開始。同時に救命スキルを保持した来街者が「Coaido119」を通じて支援要請を受信し、現場に駆けつけて救命に参加。

④コレド室町1の裏口に救急隊が到着。巡回管理要員が「Cisco Spark」を通じて救命履歴や状況を把握し、救急隊員に伝達しつつ、現場へ誘導する。

このように、救命率向上を目指しカメラ・AIやネットワークシステム・救命アプリを連携させて街全体で「救命の連鎖」をつなぐのは日本初の試みだという。
救命の連鎖をつなぐ4つのフェーズ

この救命の連鎖のうち、1〜3つ目のフェーズが現場での対応が望まれる。1つ目の「心停止の予防」は、突然死の可能性のある傷病を未然に防ぐこと、2つ目の「心停止の早期認識と通報」は突然倒れた人を早期に発見し、反応のない場合に心停止を疑い、迅速に通報することを指す。3つ目の「心肺蘇生(CPR)とAED」は居合わせた市民が絶え間なく心肺蘇生を行い救急隊につなぐこと(現場にAEDがある場合は使用すること)。そして、4つ目の「救急隊、病院での救命処置」は社会復帰を目指した高度な治療を行なうことだ。
今回の実証実験では、急病人・怪我人が発見されづらかったり、施設内において救命に駆けつける管理要員同士が離れた場所にいてコミュニケーションを取りづらいといった課題を、カメラ・AIやネットワークシステム、救命アプリで解決して、街全体で「救命の連鎖」をつなげて救命率向上を目指した。
今後は、日本橋の「エリアを挙げた救急救命の高度化」や「エリアを挙げた防災機能の高度化」のため、実証実験や関係者との協議・協働を推進し、パートナーを増やしつつ、取り組みを続けていくという。また、日本橋で行う本実証実験をモデルケースとし、ここで得た知見を活かして他の街での救命率を上げることにも取り組んでいくとのこと。
IoTなどテクノロジーの活用によって、街の安心・安全が強化されていくことに期待したい。
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