2018-03-20

AIが話し手へ、採用面接官やアナウンサーになる日

AI面接サービス「SHaiN」for Pepperでの面接の様子

単純作業はもちろん、接客や創作活動などの元来「人でなければ」と思われていた分野にも進出し始めているAI。最近では、アナウンサーや企業の採用面接官、ラジオパーソナリティーなどプロの“話し手”として活躍するAIも存在するという。例えば、和歌山県でコミュニティFM放送を行なう特定非営利活動法人、エフエム和歌山が業界に先駆けて人工知能アナウンサー「ナナコ」を導入したことは大きな話題を呼んだ。

今回はこうした、プロの話し手として情報発信に携わっているAIについて見ていこう。

24時間ニュースや災害情報を届ける、疲れ知らずのAIアナウンサー

・災害発生時、5時間休みなしで原稿を読み上げ続けた「ナナコ」

冒頭でも触れた、エフエム和歌山の人工知能アナウンサーナナコ。Amazon Web Service(AWS)の人工知能サービス「Amazon Polly」を用いて制作されたナナコは、2017年7月から現在に至るまで、毎日決まった時間に読売新聞ニュースや天気予報の自動読み上げを行なっている。

災害時の利用も想定されており、実際2017年9月に台風18号が和歌山県を通過した際には、このナナコが19時から24時間までの5時間、日本語と英語の両方で被害情報などを読み上げ続けた。

先に挙げた日々のニュースや天気予報を定められた時間に完全無人で生放送するためのウェブシステムや、24時間災害情報をバイリンガルで放送し続けるソフトウェアは、同局の職員が手作りしてしまったのだというから驚きだ。

実際にナナコによる天気予報を聞いてみたが、かなり自然で違和感も少ない。落ち着いた印象の声なので、災害時の利用にも適していると言えよう(ナナコの“声”にはAmazon Pollyで提供されている日本語の女性音声“Mizuki”が使われている)。

・約10万件のアナウンサーの音声を機械学習、“人間らしい”「荒木ゆい」

昨年11月のβ版リリース時から注目が集まっていたAIアナウンサー「荒木ゆい」。読ませたい原稿を『AIアナウンサー「荒木ゆい」ボイス・プラットフォーム』(略称:「ゆいプラ」)に入力すると、内容を自動で読み上げてくれる。手動で音のピッチや間隔、アクセントの位置を変更したり、読み間違いを修正することも可能だ。

「ゆいプラ」メイン画面(画像はプレスリリースより引用)

荒木ゆいはSpecteeが開発した人工知能エンジン「Spectee AI」を用いて、約10万件の(生身の)アナウンサーが読み上げたニュース音声を機械学習している。これにより、人に近い自然な発音やアクセント、イントネーションを習得しているのだ。

以下の動画などで実際に音声を聞いてみると分かるが、不自然になりがちな抑揚やアクセントもかなり実際の人間の話し方に近く、合成音声特有の違和感が少ない。

堀江貴文のQ&A「AIは進化している!!」〜vol.972〜


・人気クリエイターを起用、手軽にニュース動画を作成できるソニーの「沢村碧」

共同通信デジタルとソニーによる情報読み上げ動画作成システム「アバターエージェントサービス」のバーチャルアナウンサー、沢村碧(さわむらみどり)。前述の2人(?)と違い、音声のみのサービスではないが、後述のラジオ番組にも出演しているので紹介しておこう。

読み上げさせたい原稿や使いたい画像のほか、動画の背景や沢村碧の衣装、しぐさ等を設定して簡単にニュース番組のような動画を作成できる。

「アバターエージェントサービス 沢村 碧(さわむら みどり)」提供開始

沢村碧の音声データには人気声優の寿美菜子さんの声が、キャラクターデザインには人気アニメ「ソードアートオンライン」のキャラクターデザイン、作画監督の足立慎吾さんが起用されている。若干拙い発音も、ビジュアルありきと考えればそこまで違和感がない。

今後も様々なAIアナウンサー、バーチャルアナウンサーが登場するだろうが、「ありとあらゆるシーンにふさわしい声(話し方)」は存在しない。

ニュースの読み上げ一つとってみても、政治経済やスポーツニュース、災害時の避難情報を全く同じように読み上げる生身のアナウンサーはいないはずだ。アニメ調のビジュアルを受け付けない層もいるだろう。

それぞれの読み上げ能力に差異がなくなった「後」の動きにも注目したい分野だ。

企業の面接もAIが担当! 詳細なレポートも自動で作成

昨今、企業の採用現場や大学のキャリア教育の場で「AI面接官」が導入され始めていることをご存知だろうか。

アキタは2019年卒の新卒採用にタレントアンドアセスメントのAI面接サービス「SHaiN(シャイン)」を本格導入することを発表(2018年卒の新卒採用時に試験導入済)しており、同サービスは帝京大学のキャリアサポートセンターでも試験導入されている。

受験者は専用のスマートフォン用アプリケーションをインストールし、案内メールに記載されている本人確認用URLをタップすると面接が開始される。結果は応募した企業から直接通知される仕組みだ。

さらに、SHaiNはスマートフォンアプリのほか、ソフトバンクロボティクスのロボット「Pepper」専用アプリも用意。これにより、スマートフォンを持っていない層にもSHaiNによる面接を受ける機会を提供している。

「SHaiN」を使用した面接の様子(画像はプレスリリースより引用)

SHaiN導入によって企業側が得られるメリットとして、タレントアンドアセスメントは一次面接の効率化や面接官・面接会場不足の解消、交通費や人件費といったコストを削減できる点などを挙げている。

一方、面接を受ける側のメリットとしては地理的・時間的な制限がなくなる点や、全員が公正な評価基準で最後までしっかりとした面接を受けることができる点などが挙げられている。

Android版「SHaiN」面接中のスマートフォン画面(画像はプレスリリースより引用)

面接後、SHaiNは「面接評価レポート」と称する候補者の詳細な分析レポートを作成してくれる。公式サイトではこちらのサンプルを見ることができるが、これを面接のたびに人事担当が個々の受験者分作成するのは現実的ではないだろう。このレポートを見るだけでも、企業側のメリットが大きい点は頷ける。

とはいえ(選考フローにもよるだろうが)、実際の社内や企業の人間を直接見る機会が1回分減ることは、受験者にとってデメリットになるはず。

現段階では、AI面接で採用された人材の今後が気になるところだ。

ラジオやイベントの進行をアシスト、選曲までこなすAI

最後に「話し手」のプロが集う場所、ラジオ番組で活躍するAIを紹介する。

・THE FROGMAN SHOW A.I.共存ラジオ好奇心家族:ドッチくん

2017年10月3日より、TBSラジオで火曜から金曜の17時50分から22時まで放送されている同番組のテーマは文字通り「AI」。前述したバーチャルアナウンサー沢村碧も、番組内で天気予報の読み上げや進行の一部を担当している。

番組内には音声AIキャラクター「人工知能犬ドッチくん」が登場。ドッチくんは日々リスナーの疑問や質問に答える(=リスナーやパーソナリティーとコミュニケーションをとる)ことで成長し、徐々にスムーズな応対ができるようになっているのだ。

ドッチくんに用いられているJetrunテクノロジの自然対話AIプラットフォームはシャープのロボット携帯電話「RoBoHoN(ロボホン)」などにも採用されている。また、音声にはエーアイの音声合成エンジン「AITalk」を使用している。

さらに同番組では、ラジオ番組では欠かせない「選曲」をAIが行なうコーナーも設けられている。こちらにはソケッツのAI選曲システム「Life’s Radio」が用いられている。

「THE FROGMAN SHOW A.I.共存ラジオ好奇心家族」番組ロゴ(画像はプレスリリースより引用)


・INNOVATION WORLD:Tommy

J-WAVEで毎週金曜22時~22時55分に放送されている同番組には、2017年8月25日放送分より「Tommy(トミー)」と名付けられたAIアシスタントが登場し、以来レギュラー出演している。

TommyはIBMのAI「Watson」を使い、J-WAVEと日本IBMの共同で作られたラジオAIアシスタント。番組ゲストのSNSや過去の取材記事、作品などのデータを収集してゲストの性格診断を行なうほか、選曲やジングルなども担当している。

また、Tommyは2月28日に行なわれた番組イベント「J-WAVE INNOVATION WORLD COMPLEX vol.1 ~AIを知る・AIを体験する~」ではイベントのMCを務めるなど、ラジオ以外にも活躍の場を広げている。

今はまだ、エンターテイメントの一つとしてAIの拙さを面白がりながら、使い方を模索する段階なのかもしれない。しかし荒木ゆいの発音の滑らかさ等は、そろそろ人間の代わりを任せても良いのではないかと思わせてくれる。

スマートスピーカーやオーディオブックなど音声での情報収集に注目が集まる今、これらの技術をプロモーション等に使いたいという企業は多いだろう。ニーズに上手くはまれば、ナナコのように毎日1人で立派に業務をこなせるAIも次々に出てくるはず。

生身の「話し手のプロ」は今後、これまで以上に自分だけの強みを磨くだけでなく、AIとの違いを分かりやすく市場にアピールする能力も求められることになりそうだ。

●参考
・和歌山のラジオ局 Banana FM|エフエム和歌山
 https://877.fm/

・AIアナウンサー「荒木ゆい」ボイス・プラットフォーム(ゆいプラ)
 https://www.ai-announcer.com/

・バーチャルアナウンサー「沢村碧(さわむら みどり)」が読み上げる アバターエージェントサービス
 http://avataragentservice.jp/

・SHaiN
 https://www.taleasse.co.jp/shain/

・THEFROGMANSHOWA.I.共存ラジオ好奇心家族
 https://www.tbsradio.jp/kazoku/

・INNOVATION WORLD
 http://www.j-wave.co.jp/original/innovationworld/

記事提供元

IoT Today
http://iottoday.jp/

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参画順

横浜市

「未来の家プロジェクト」は横浜市が立ち上げた「I▢TOP(アイトップ)横浜」の個別プロジェクトの一つであり、IoTスマートホームを用いた実証実験を通じて、高齢者の独り暮らしや災害時の対応といった社会課題の解決や新規ビジネス創出を目指します。また、横浜市は本プロジェクトに協業していただける企業への呼びかけや実証実験の場の提供に向けた調整を行います。

I▢TOP横浜とは、横浜市が2017年4月に立ち上げた横浜経済の強みである「ものづくり・IT産業の集積」を活かし、IoT等を活用したビジネス創出に向けた交流・連携、プロジェクト推進、人材育成等の場となる「IoTオープンイノベーション・パートナーズ」のことです。

株式会社NTTドコモ

様々なメーカーのIoT機器を一元的に管理、制御可能なIoTアクセス制御エンジン技術を、セミナーなどを通じて提供するとともに、実証実験施設として「IoTスマートホーム」を提供しています。また、IoT機器メーカーなどと協力し、IoTアクセス制御エンジン技術を活用した数多くのIoTサービスの創出を支援してまいります。

and factory株式会社

日本初のスマートホステル「&AND HOSTEL」のプロデュース経験とプラットフォームアプリ「&IoT」の開発実績を活かし、IoTスマートホームの居住者のユーザー体験設計と、居住者に便利に快適に生活してもらうためのアプリ開発を行っております。また、今後協業する企業との事業検討、企画を行い、実証実験から事業化を推進し、IoTスマートホームを普及させていく役割を担っています。

富士通コネクテッドテクノロジーズ

長年のスマートフォン開発で培ったセンシング技術、音声認識技術を応用し、居住者に健康な生活を送っていただくために、居住者の健康状態(ストレス、血管年齢、心拍数)を測定しアドバイスを提供するデバイスを開発を行いました。健康をアドバイスするエージェントデバイスをIoTスマートホーム内に設置しております。

相鉄グループ

相鉄沿線での低未利用地を活用し、実証実験の場を提供するほか、相鉄グループの各事業との連携も含めて協力してまいります。相鉄グループは、”相鉄いずみ野線沿線 環境未来都市”「誰もが住みたい、住み続けたいと思える持続可能なまちづくり」に取り組んでいます。 今後も沿線の魅力や暮らしやすさを高める取り組みを関係者と一体となって実施してまいります。

凸版印刷

凸版印刷は、「住まいは、くらす人と対話する存在へ」をコンセプトに「トッパンIoT建材シリーズ」を開発しております。本プロジェクトでは、開発中のトッパンIoT建材シリーズをIoTスマートホームに導入し、さりげなく「見守り」、「居住者が家と対話」をしながら便利にくらすなど、建材としてストレスフリーな生活を支える検証をしてまいります。

foo.Log

自社サービスで蓄積した食事に関する膨大な記録データと東京大学と共同研究している最先端の画像解析技術を元に写真に写った食事メニューを推定する機能と食事に関連するアドバイスを提供する機能をIoTスマートホームに提供しています。今後はIoTスマートホームで蓄積した新たなデータから、IoT機器と連携した使いやすい機能の開発を進めて参ります。

資生堂

デバイスで操作できる化粧品吐出デバイスを設置し、他の各種環境センシングおよび生活行動ログ等との関連性を検討することで、美容のよい空間をづくりを目指してまいります。

グリーンブルー

環境調査、環境モニタリングで培った測定技術をベースに、各種測定器、センサーを用いて、IoTスマートホーム居住者の日常生活に伴う環境影響(PM2.5、CO2、VOC等)を測定し、収集データの解析・評価をしています。快適な住環境の創造に向けて、“空気”の視点から各社デバイスとの関連性を追究し、新サービスの創出に取り組んでまいります。

三和シヤッター工業

社会のニーズや生活スタイルに適応した商品をラインナップすることに積極的に取り組み、より良い未来の住環境づくりに協力したいと考えております。本プロジェクトでは各種デバイスで操作できる窓シャッターを提供しています。

SMK

これまでのコネクタ、タッチパネル、スイッチ、リモコン、RF通信モジュールなどの主力ビジネスに加え、最近の取り組みとして、パートナー様との協業やオープンイノベーションの推進によるIoT関連の新規事業創出を積極的に進めています。本プロジェクトでは、BLEを利用した「見守りセンサー」を設置し、お部屋にいる方の活動の有無や出入りをモニターするシステムをご提供しております。

アイホン株式会社

アイホンはインターホン専門メーカーとして、住まう人一人ひとりが快適で安全に過ごせるコミュニケーションシステムを提供しています。このプロジェクトではIoTスマートホームとインターホンがつながることで新たなサービスを創出し、魅力ある製品開発へ活かしてまいります。

株式会社アロマジョイン

世界初の香り制御装置「アロマシューター」の開発・製造及び販売

株式会社ニチベイ

当社は、ブラインド・ロールスクリーンと間仕切りの専門メーカーです。光と熱のコントロールを通じて「快適な住空間づくり」に取り組んでいます。本プロジェクトでは、当社の電動製品を様々な機器と連携することにより、窓まわりのIoT化に貢献してまいります。

株式会社フィッツコーポレーション

「豊かさが香るものづくり」をビジョンとし、オリジナルブランドのフレグランスアイテムの企画開発・販売、海外ブランドの日本正規代理店として輸入・販売を行う。現在約40ブランドを取扱い、百貨店からコンビニエンスストアまで幅広い流通展開が特徴。現在、「快適な眠り空間をサポートする香り」を杏林大学脳科学 古賀教授とともに、「眠りと香り」について被験者テストなどを通じて開発中。