2019-01-22

足に伝わる「感触」でこどもの迷子を防ぐ、LIONがつくる新発想のウェアラブルライフガジェット「NOSSY」 ―ライオンイノベーションラボ インタビュー【第4回】

本稿は、一般消費者向けIoT/AI製品の事業企画を支援する「IoTNEWS生活環境創造室」(室長:吉田健太郎)が、イノベーションに挑むライオン株式会社の取り組みを紹介する連載の第4回です(全4回)。

クリニカ、キレイキレイ、トップ、バファリン―。私たちの生活に欠かせない日用品を、1891年の創業以来120年以上にわたって開発し、提供してきたライオン。同社は2018年1月、研究開発本部に「イノベーションラボ」を新設。製品の構想段階から社外と連携する「オープンイノベーション」を推し進め、デバイスやサービス、アプリなど、新しいタイプの製品開発に取り組んでいる。

目にするのはある意味、「ライオンらしくない製品」ばかりだ。しかしそこには、口腔衛生やヘルスケア、皮膚・毛髪に関する知見、そして生活者との豊富なタッチポイントといったライオンの強みが、センサーや通信機器、AIなどの新しいテクノロジーとかけあわされている。

発足から1年が経とうとしている今、どのような成果が生まれているのか。「IoTNEWS 生活環境創造室」では、イノベーションラボで革新に挑む4名の研究者を取材した。第4回の本稿では、足に伝わる「感触」でこどもの迷子を防ぐフットウェア「NOSSY」の開発を担当する、藤原優一副主任研究員に話を伺った(聞き手:IoTNEWS代表 小泉耕二)。

※第1回-3回の記事はこちら
第1回: 美しい笑顔は口の中から、LIONらしさが生んだ新しい美容機器「VISOURIRE」
第2回: 口腔ケア×AIで実現、口臭リスクを判定するスマートフォンアプリ「RePERO」
第3回: お腹まわりのサイズが自動でわかる、LIONの新発想ウェアラブル「ながら腹囲チェッカー」

こどもと親を「感触」でつなげる、ちょっと変わったIoT製品

IoTNEWS 小泉耕二(以下、小泉): 藤原さんが開発している「NOSSY」とはどのような製品でしょうか?

ライオン 藤原優一副主任研究員(以下、藤原): 小さいお子さんの靴に振動が伝わるデバイス(振動子)をつけて、足元に「感触」をもたらす製品です。

小泉: 「感触」ですか?

藤原: はい。雪の上を歩いたり、水たまりを踏んだりしたときの感触から、ゾウが足踏みをしているような仮想の感触まで、さまざまな種類があります。そして最大の特徴は、お父さんやお母さんが近くにいる時だけその感触が起こるようなしくみになっていることです。「NOSSY」の目的は、そうした感触を利用することで、お子さんの迷子を防いであげることにあります。

ライオンは今年の10月、札幌で毎年開催されている国際イベント「NoMaps」に出展。この動画はその際に公開した「NOSSY」のコンセプトムービーだ。

小泉: 「NOSSY」がどのようなしくみになっているのか教えてください。

藤原: 子供の靴に装着するデバイス(振動子)が、お子さまの足の動きに合わせて振動を伝えます。また、その振動は、お父さん・お母さんとの距離に応じてなくなったり、現れたりします。

小泉: 「足の動き」はどのようにとらえているのですか?

藤原: 今回、札幌で開催された「NoMaps」で出展したプロトタイプ版「NOSSY」では、スマートフォンに搭載されている「加速度センサー」を利用しています。また、お父さん・お母さんとの距離の計測においては、スマートフォンの「Bluetoothビーコン」を利用しています。

小泉: 足に振動を伝えるデバイス(振動子)は後付けですか?

藤原: はい。当初は靴に内蔵することも検討したのですが、お子さまの靴のサイズも色々ですので、柔軟に取り付けられる後付タイプを前提に今は考えています。

足に伝わる「感触」でこどもの迷子を防ぐ、LIONがつくる新発想のウェアラブルライフガジェット「NOSSY」 ―ライオンイノベーションラボ インタビュー【第3回】

「NoMaps」出展の様子。こどもがはいている靴の側面についている白いデバイスが、プロトタイプ版の「NOSSY」。ひざのあたりに装着したスマートフォンが足の動きをとらえることで、ちょうど足を踏み下ろした時に「どしん」などの感触が伝わるようになっている。将来的には、スマートフォンのセンサー機能も靴につけるデバイスに集約する予定だという。

小泉: つまり、お子さんが両親の近くで歩いていると、「どしんどしん」などの振動が足に伝わってくるわけですね。振動とは別に、音も鳴るのですか?

藤原: はい。「NoMaps」に出展した時は、別途スピーカーを用意して、そこから聴こえるようにしました。またその際には、床に雪の地面や動物の足跡を模したシートを用意し、実際に踏みながら振動と音を感じてもらうという演出にしました。

小泉: 今は振動子とスマートフォンを有線ケーブルでつないでいますね。実用性を考えると、お子さんがスマートフォンを持ち歩くというのはあまり現実的ではないように思えます。

藤原: そうなんです。なので、今スマートフォンから借りている「加速度センサー」と「ビーコン」の機能は、将来的には足下のデバイスに集約する予定です。

小泉: なるほど。そして、この感触はお父さん・お母さんと一緒にいる時にだけ感じられると。

藤原: はい。今の設定では、5メートルくらい離れると、振動を感じなくなります。「NoMaps」の際には、ご両親にも振動が伝わるウェアラブルデバイスをつけてもらいました。お子さんが近くにいるとぶるぶる振動するのですが、離れていくとその振動が弱くなるしくみです。

足に伝わる「感触」でこどもの迷子を防ぐ、LIONがつくる新発想のウェアラブルライフガジェット「NOSSY」 ―ライオンイノベーションラボ インタビュー【第3回】

「NoMaps」では、こどもだけではなく、両親にも振動が伝わるウェアラブルデバイスが用意された。こどもが近くにいるとぶるぶる振動するが、離れすぎるとその振動は消えるしくみだ。

次ページ:きっかけは、家族とのアイデアソン

記事提供元

IoTニュース:IoT NEWS
https://iotnews.jp

関連記事
タグ
IoT NEWS
IoT/AIに関する事例と最新ニュース、インタビュー、知見など、企業のデジタルトランスフォーメーションに役立つ情報を提供いたします
関連記事
ランキング
タグ一覧
マガジン
未来の家PJ
人気の記事を集めました
未来の家 マガジンのキーワード一覧
未来の家をつくるために役立つ情報を紹介
未来の家プロジェクトからのお知らせ
PROJECT MEMBER
参画順

横浜市

「未来の家プロジェクト」は横浜市が立ち上げた「I▢TOP(アイトップ)横浜」の個別プロジェクトの一つであり、IoTスマートホームを用いた実証実験を通じて、高齢者の独り暮らしや災害時の対応といった社会課題の解決や新規ビジネス創出を目指します。また、横浜市は本プロジェクトに協業していただける企業への呼びかけや実証実験の場の提供に向けた調整を行います。

I▢TOP横浜とは、横浜市が2017年4月に立ち上げた横浜経済の強みである「ものづくり・IT産業の集積」を活かし、IoT等を活用したビジネス創出に向けた交流・連携、プロジェクト推進、人材育成等の場となる「IoTオープンイノベーション・パートナーズ」のことです。

株式会社NTTドコモ

様々なメーカーのIoT機器を一元的に管理、制御可能なIoTアクセス制御エンジン技術を、セミナーなどを通じて提供するとともに、実証実験施設として「IoTスマートホーム」を提供しています。また、IoT機器メーカーなどと協力し、IoTアクセス制御エンジン技術を活用した数多くのIoTサービスの創出を支援してまいります。

and factory株式会社

日本初のスマートホステル「&AND HOSTEL」のプロデュース経験とプラットフォームアプリ「&IoT」の開発実績を活かし、IoTスマートホームの居住者のユーザー体験設計と、居住者に便利に快適に生活してもらうためのアプリ開発を行っております。また、今後協業する企業との事業検討、企画を行い、実証実験から事業化を推進し、IoTスマートホームを普及させていく役割を担っています。

富士通コネクテッドテクノロジーズ

長年のスマートフォン開発で培ったセンシング技術、音声認識技術を応用し、居住者に健康な生活を送っていただくために、居住者の健康状態(ストレス、血管年齢、心拍数)を測定しアドバイスを提供するデバイスを開発を行いました。健康をアドバイスするエージェントデバイスをIoTスマートホーム内に設置しております。

相鉄グループ

相鉄沿線での低未利用地を活用し、実証実験の場を提供するほか、相鉄グループの各事業との連携も含めて協力してまいります。相鉄グループは、”相鉄いずみ野線沿線 環境未来都市”「誰もが住みたい、住み続けたいと思える持続可能なまちづくり」に取り組んでいます。 今後も沿線の魅力や暮らしやすさを高める取り組みを関係者と一体となって実施してまいります。

凸版印刷

凸版印刷は、「住まいは、くらす人と対話する存在へ」をコンセプトに「トッパンIoT建材シリーズ」を開発しております。本プロジェクトでは、開発中のトッパンIoT建材シリーズをIoTスマートホームに導入し、さりげなく「見守り」、「居住者が家と対話」をしながら便利にくらすなど、建材としてストレスフリーな生活を支える検証をしてまいります。

foo.Log

自社サービスで蓄積した食事に関する膨大な記録データと東京大学と共同研究している最先端の画像解析技術を元に写真に写った食事メニューを推定する機能と食事に関連するアドバイスを提供する機能をIoTスマートホームに提供しています。今後はIoTスマートホームで蓄積した新たなデータから、IoT機器と連携した使いやすい機能の開発を進めて参ります。

資生堂

デバイスで操作できる化粧品吐出デバイスを設置し、他の各種環境センシングおよび生活行動ログ等との関連性を検討することで、美容のよい空間をづくりを目指してまいります。

グリーンブルー

環境調査、環境モニタリングで培った測定技術をベースに、各種測定器、センサーを用いて、IoTスマートホーム居住者の日常生活に伴う環境影響(PM2.5、CO2、VOC等)を測定し、収集データの解析・評価をしています。快適な住環境の創造に向けて、“空気”の視点から各社デバイスとの関連性を追究し、新サービスの創出に取り組んでまいります。

三和シヤッター工業

社会のニーズや生活スタイルに適応した商品をラインナップすることに積極的に取り組み、より良い未来の住環境づくりに協力したいと考えております。本プロジェクトでは各種デバイスで操作できる窓シャッターを提供しています。

SMK

これまでのコネクタ、タッチパネル、スイッチ、リモコン、RF通信モジュールなどの主力ビジネスに加え、最近の取り組みとして、パートナー様との協業やオープンイノベーションの推進によるIoT関連の新規事業創出を積極的に進めています。本プロジェクトでは、BLEを利用した「見守りセンサー」を設置し、お部屋にいる方の活動の有無や出入りをモニターするシステムをご提供しております。