2018-12-26

口腔ケア×AIで実現、口臭リスクを判定するスマートフォンアプリ「RePERO」 ―ライオンイノベーションラボ インタビュー【第2回】

本稿は、一般消費者向けIoT/AI製品の事業企画を支援する「IoTNEWS生活環境創造室」(室長:吉田健太郎)が、イノベーションに挑むライオン株式会社の取り組みを紹介する連載の第2回です(全4回)。

クリニカ、キレイキレイ、トップ、バファリン―。私たちの生活に欠かせない日用品を、1891年の創業以来120年以上にわたって開発し、提供してきたライオン。同社は2018年1月、研究開発本部に「イノベーションラボ」を新設。製品の構想段階から社外と連携する「オープンイノベーション」を推し進め、デバイスやサービス、アプリなど、新しいタイプの製品開発に取り組んでいる。

目にするのはある意味、「ライオンらしくない製品」ばかりだ。しかしそこには、口腔衛生やヘルスケア、皮膚・毛髪に関する知見、そして生活者との豊富なタッチポイントといったライオンの強みが、センサーや通信機器、AIなどの新しいテクノロジーとかけあわされている。

発足から1年が経とうとしている今、どのような成果が生まれているのか。「IoTNEWS 生活環境創造室」では、イノベーションラボで革新に挑む4名の研究者を取材した。第2回の本稿では、舌の写真をスマートフォンで撮影し、口臭リスクを判定するアプリ「RePERO」の開発を担当する、尾本さよ研究員に話を伺った(聞き手:IoTNEWS代表 小泉耕二)。

※第1回「美しい笑顔は口の中から、LIONらしさが生んだ新しい美容機器「VISOURIRE」」の記事はこちら

口臭リスクが舌の写真からわかる理由

IoTNEWS 小泉耕二(以下、小泉): 尾本さんが開発を進めているのは何という製品でしょうか?

ライオン 尾本さよ研究員(以下、尾本): 舌の写真をスマートフォンのカメラで撮影することで、口臭のリスクレベルを判定する「RePERO」というアプリです。

口腔ケア×AIで実現、口臭リスクを判定するスマートフォンアプリ「RePERO」 ―ライオンイノベーションラボ インタビュー【第2回】

(左)「RePERO」で口臭リスクを判定した結果:口臭リスクレベルは3段階に設定。口臭は「舌苔」という舌の汚れに起因する場合が多いため、歯磨きをした朝に判定して「レベル1」でも、夕方に判定すると「レベル3」になることもあるという。(右)「RePERO」では口臭リスクを判定するだけではなく、口臭に関わるさまざまな豆知識を提供してくれる。

小泉: なぜ、写真から口臭リスクがわかるのですか?

尾本: 口臭の主な原因は、「舌苔」(ぜったい)という苔(こけ)のような白い汚れにあります。食べかすや口の中ではがれた細胞が付着して菌が増殖し、それが臭いのもとになります。

小泉: 舌に白い部分が多いとダメということですか?

尾本: はい、臭いのもとになる菌が多い状態ということになります。歯ブラシや舌ブラシできちんとお掃除する必要があります。

小泉: 「RePERO」をつくろうと思ったきっかけは何でしょうか。

尾本: 口臭を気にしている方が多いことは、弊社がこれまでに行ってきた調査でわかっていました。一方で、口臭ケアの商品は色々とあるものの、本当に効果があるのか、本人では確かめられないことが課題になっていました。

小泉: なるほど。でも、なぜ舌の写真なのでしょうか?

尾本: ライオンが保有するオーラルケアの知見から、舌の汚れと口臭に相関があるとわかっていたからです。

小泉: なるほど、口腔衛生の知見をもつ御社だからできる技術というわけですね。実際には、写真を撮って画像解析をしているのだと思いますが、測定のロジックはどういうものですか?

尾本: たくさんの舌の画像と口臭のデータを集め、機械学習させると、「どういう舌の状態だと口臭リスクが高いか」という相関が見えてきます。そのアルゴリズムを口臭リスクの判定に用いています(※)。

口腔ケア×AIで実現、口臭リスクを判定するスマートフォンアプリ「RePERO」 ―ライオンイノベーションラボ インタビュー【第2回】

IoTNEWS代表の小泉が「RePERO」で口臭リスクチェックをしている様子

小泉: 判定結果と一緒に対応策も提示してくれるのですね。

尾本: はい。たとえば、口臭対策の一つは「舌ブラシ」を使って舌をきれいにすることです。ところが、舌ブラシを使ってみたことがないという方も多いので、その詳しい使い方を提案するコンテンツを用意しています。また、他にも口臭に関するさまざまな豆知識が閲覧できるようになっています。

小泉: 口臭というのは、口の中だけの問題なのですか? 胃の調子が悪いと口が臭くなるという話を聞いたことがありますが、胃の臭いは関係ないのでしょうか。

尾本: はい、口臭は主に口内の環境がもたらす臭いと言われています。そうした正しい知識も、このアプリを通して提供していきたいと考えています。アプリから、弊社が提供している情報サイト「口臭科学研究所」のウェブページにリンクし、さらに深い知識をつけていただけるようなコンテンツも用意しています。

小泉: いいですね。ライオンさんのオーラルケア製品がアプリから買えたりはしないのでしょうか。

尾本: 現時点ではまだできないのですが、今後はそうしたプラットフォームとしてのしくみも検討しています。

※「舌苔」が発する臭いの成分は「硫化水素」と呼ばれるガス成分だ。「RePERO」では「ガスクロマトグラフィー」という装置を使って測定した「硫化水素の実測値」と「舌画像から得られる特徴」の相関から、アルゴリズムを作成しているという。なお、歯周病やむし歯なども口臭の原因となるが、健康な人の口臭の主な原因は「舌苔」由来と考えられている。ライオンはその舌苔由来の口臭リスクを見える化することに注力し、「RePERO」を開発した。

次ページ:大手百貨店で実証実験も進行中、従業員の「意識の変化」をとらえたい

記事提供元

IoTニュース:IoT NEWS
https://iotnews.jp

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横浜市

「未来の家プロジェクト」は横浜市が立ち上げた「I▢TOP(アイトップ)横浜」の個別プロジェクトの一つであり、IoTスマートホームを用いた実証実験を通じて、高齢者の独り暮らしや災害時の対応といった社会課題の解決や新規ビジネス創出を目指します。また、横浜市は本プロジェクトに協業していただける企業への呼びかけや実証実験の場の提供に向けた調整を行います。

I▢TOP横浜とは、横浜市が2017年4月に立ち上げた横浜経済の強みである「ものづくり・IT産業の集積」を活かし、IoT等を活用したビジネス創出に向けた交流・連携、プロジェクト推進、人材育成等の場となる「IoTオープンイノベーション・パートナーズ」のことです。

株式会社NTTドコモ

様々なメーカーのIoT機器を一元的に管理、制御可能なIoTアクセス制御エンジン技術を、セミナーなどを通じて提供するとともに、実証実験施設として「IoTスマートホーム」を提供しています。また、IoT機器メーカーなどと協力し、IoTアクセス制御エンジン技術を活用した数多くのIoTサービスの創出を支援してまいります。

and factory株式会社

日本初のスマートホステル「&AND HOSTEL」のプロデュース経験とプラットフォームアプリ「&IoT」の開発実績を活かし、IoTスマートホームの居住者のユーザー体験設計と、居住者に便利に快適に生活してもらうためのアプリ開発を行っております。また、今後協業する企業との事業検討、企画を行い、実証実験から事業化を推進し、IoTスマートホームを普及させていく役割を担っています。

富士通コネクテッドテクノロジーズ

長年のスマートフォン開発で培ったセンシング技術、音声認識技術を応用し、居住者に健康な生活を送っていただくために、居住者の健康状態(ストレス、血管年齢、心拍数)を測定しアドバイスを提供するデバイスを開発を行いました。健康をアドバイスするエージェントデバイスをIoTスマートホーム内に設置しております。

相鉄グループ

相鉄沿線での低未利用地を活用し、実証実験の場を提供するほか、相鉄グループの各事業との連携も含めて協力してまいります。相鉄グループは、”相鉄いずみ野線沿線 環境未来都市”「誰もが住みたい、住み続けたいと思える持続可能なまちづくり」に取り組んでいます。 今後も沿線の魅力や暮らしやすさを高める取り組みを関係者と一体となって実施してまいります。

凸版印刷

凸版印刷は、「住まいは、くらす人と対話する存在へ」をコンセプトに「トッパンIoT建材シリーズ」を開発しております。本プロジェクトでは、開発中のトッパンIoT建材シリーズをIoTスマートホームに導入し、さりげなく「見守り」、「居住者が家と対話」をしながら便利にくらすなど、建材としてストレスフリーな生活を支える検証をしてまいります。

foo.Log

自社サービスで蓄積した食事に関する膨大な記録データと東京大学と共同研究している最先端の画像解析技術を元に写真に写った食事メニューを推定する機能と食事に関連するアドバイスを提供する機能をIoTスマートホームに提供しています。今後はIoTスマートホームで蓄積した新たなデータから、IoT機器と連携した使いやすい機能の開発を進めて参ります。

資生堂

デバイスで操作できる化粧品吐出デバイスを設置し、他の各種環境センシングおよび生活行動ログ等との関連性を検討することで、美容のよい空間をづくりを目指してまいります。

グリーンブルー

環境調査、環境モニタリングで培った測定技術をベースに、各種測定器、センサーを用いて、IoTスマートホーム居住者の日常生活に伴う環境影響(PM2.5、CO2、VOC等)を測定し、収集データの解析・評価をしています。快適な住環境の創造に向けて、“空気”の視点から各社デバイスとの関連性を追究し、新サービスの創出に取り組んでまいります。

三和シヤッター工業

社会のニーズや生活スタイルに適応した商品をラインナップすることに積極的に取り組み、より良い未来の住環境づくりに協力したいと考えております。本プロジェクトでは各種デバイスで操作できる窓シャッターを提供しています。

SMK

これまでのコネクタ、タッチパネル、スイッチ、リモコン、RF通信モジュールなどの主力ビジネスに加え、最近の取り組みとして、パートナー様との協業やオープンイノベーションの推進によるIoT関連の新規事業創出を積極的に進めています。本プロジェクトでは、BLEを利用した「見守りセンサー」を設置し、お部屋にいる方の活動の有無や出入りをモニターするシステムをご提供しております。

アイホン株式会社

アイホンはインターホン専門メーカーとして、住まう人一人ひとりが快適で安全に過ごせるコミュニケーションシステムを提供しています。このプロジェクトではIoTスマートホームとインターホンがつながることで新たなサービスを創出し、魅力ある製品開発へ活かしてまいります。

株式会社アロマジョイン

世界初の香り制御装置「アロマシューター」の開発・製造及び販売

株式会社ニチベイ

当社は、ブラインド・ロールスクリーンと間仕切りの専門メーカーです。光と熱のコントロールを通じて「快適な住空間づくり」に取り組んでいます。本プロジェクトでは、当社の電動製品を様々な機器と連携することにより、窓まわりのIoT化に貢献してまいります。

株式会社フィッツコーポレーション

「豊かさが香るものづくり」をビジョンとし、オリジナルブランドのフレグランスアイテムの企画開発・販売、海外ブランドの日本正規代理店として輸入・販売を行う。現在約40ブランドを取扱い、百貨店からコンビニエンスストアまで幅広い流通展開が特徴。現在、「快適な眠り空間をサポートする香り」を杏林大学脳科学 古賀教授とともに、「眠りと香り」について被験者テストなどを通じて開発中。